PhysicsLab. 2016 BLOG
Category: その他
前回までの投稿で全ての班の班長による1回目の班紹介が終わりました。如何だったでしょうか。今週から投稿のペースも上がり今後は更に詳しい内容になる予定です。お楽しみに。

さて各班の研究成果はポスター発表の形式で展示する予定ですが、ポスター以外の企画もいくつか準備しています。
まずは前回の投稿にも登場した物理ショー。物理ショー班は身近な物理現象を題材にした演示実験を行います。物理ショー班以外のいくつかの班も、ポスターだけではなく、目で見て、あるいは実際に動かして楽しめるようなコーナーを計画しています。また各班のテーマに関連したクイズなども制作中です。

物理に親しみのない方にも(もちろん詳しい方にも!)楽しんでいただける企画になるよう準備を進めて参ります。
PhysicsLab. 2016 に乞うご期待!
はじめまして。物理ショー班班長の笹と申します。

皆さんは「物理」に対してどのような印象を持っているでしょうか。「数式ばかりで何を言っているのかわからない」「難しい」といった印象を持っている方も少なくないのではないかと思います。確かに、物理を本格的に学ぶことはとても難しく、数式を避けて通ることはできません。では、そのような「難しい」物理は、本格的に学ぼうとしない限り縁遠いものなのでしょうか。そうではありません。
たとえば、「空はなぜ青いのか」「電子レンジはなぜ食べ物を温めることができるのか」などの疑問は、物理を使うことで説明することができます。それだけでなく、世の中に起きるすべての現象の根底には何らかの物理が潜んでいるといっても過言ではないでしょう。また、物理は現代の科学技術を支える基礎にもなっています。GPSに相対性理論が使われている、という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

物理ショー班は、そんな「実は身近」な物理を楽しい実験を通して感じていただくことを目標に活動しています。物理に全く触れたことがないという方はもちろん、物理をある程度学んでいる方にも楽しんでいただけるような実験を準備しております。詳しい内容は今後ブログで紹介していきますので、どうぞご期待ください。
五月祭ではPhysicsLab. 2016で物理の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
2016.02.22. Mon.
Category: 加速器班
はじめまして、加速器班の丸井と申します。

ここでは、加速器班についてお話をしたいと思います。加速器と一言で行っても様々なものがあります。有名なのは、Higgs粒子を発見したCERNや、新しい原子核を発見した理研、物性研究で使われるSpring-8などでしょうか。加速器というのは、荷電粒子を加速する装置の総称です。では、何を加速するのでしょうか、また、どうやって加速しているのでしょうか?

CERNでは、陽子をシンクロトロンを用いて、磁場を変化させ一定の半径で回しながら加速し、陽子と陽子の衝突実験を行っています。理研では、様々な原子核をサイクロトロンを用いて、一定の磁場中で回転運動させながら加速し、新しい原子核を作成しています。Spring-8では、電子をシンクロトロンを用いて加速し、発生する電磁波を使って試料の分析を行っています(レントゲンやMRIみたいな感じだと思ってください)。ここまで、挙げた例は全て回転運動をしています。

今回作成している加速器は、これらとは少し違い、電位差を使って加速する静電加速器と呼ばれるものです。例えば、乾電池の+と−の間には1.5Vの電位差があり、1Cの粒子を1.5J(ジュール)加速することができます。僕たちは、これを使って加速した電子の干渉の様子や磁場中での運動の軌道を調べたいと思っています。20世紀最大の発見の一つに相対論が挙げられます。相対論によれば、粒子の運動が光速に近い時、運動の軌跡がNewton力学とは異なるらしいです。ただ、飛行機などで光速に近い速度を出すのは難しいでしょう。たくさん燃料が必要でしょうし、隕石みたいに空気抵抗で燃えてしまうかもしれません。しかし、とっても小さくて軽い電子ならばどうでしょう? 速度を大きくしてもあまりエネルギーが大きくならず、真空容器の中で実験すれば空気抵抗なども関係ありません。これなら、もしかしたら出来るかもしれません。この班では、電子を大きく加速し光速に近づけると運動の軌跡がNewton力学ではなく相対論に一致することを確かめたいと思っています。
Category: 計算機班
sHello world!
はじめまして、計算機班班長の羽柴です。
突然ですが、皆さんは計算機を使った事はありますか?きっとあると思います。このサイトを見ている時点で貴方は計算機(コンピュータ)の前に居ますね。スマホも計算機の一種ですよ!

さて、みんながお世話になっているとっても便利なコンピュータですが、実は物理の世界でも大活躍なのです。
物理の世界では実験したくても現実的には出来なかったり、理論で出てきた数式が難し過ぎて解けなかったりする事がしばしばあります。そんな時に役立つのが『計算機シミュレーション』。コンピュータに物理の方程式を教えて計算させてやると、コンピュータの中で実験が出来る、もっと格好付けて言うとコンピュータの中に『もう一つの宇宙を創り上げる』事が出来るのです!
これによって、地球に巨大隕石をぶつけて月を作れるか『実験』したり、星が爆発する様子の断面図をスローモーションで『観察』する、なんて事が可能になっています。身近な例だと、天気予報もコンピュータの中に『もう一つの地球』を作って早送りしてみることで天気を予報していたりします。凄いですね。

が、コンピュータ君は意外と頭がよろしくないので、物理の方程式を教えるというのがとても難しかったりします。
まず、コンピュータ君はマジメ過ぎるので人間様の言った事しか出来ません。「そのくらいは自分で考えれば分かるでしょう?」という訳にはいかないのです。足し算から何から、コンピュータ君がちゃんと計算出来るよう、完璧に、一点の例外無くマニュアル化しなければならないのです。
また、コンピュータ君は自分に絶対の自信があるので「間違えた!」という思いを抱きません。バレンタインデーで貰えるチョコの個数を計算して物凄い大きな数が出たら、人間なら「間違えたかな?」と思うところですが、コンピュータ君は「やったね!2147483647個貰えるらしいよ!」とか平気で言ってきます。計算を見直す事など考えもしないのです。だから、最終的には人間が結果をチェックしないといけません。
そして、人間語で書かれた方程式をコンピュータ君が読める言葉に翻訳してやる必要もあります。これがまた英会話並に難しい訳で…
ただ、その分物理屋の腕の見せ所も多いと言えます。

そんなコンピュータを使って、私達はこんなことをやろうと思っています。
・2次元イジングモデルのシミュレーション
・ランダムウォーク(酔歩)のシミュレーション
・微生物の走化性のシミュレーション
・交通流(渋滞)のシミュレーション
・並列計算(スパコンとかで使われている手法)を使ったシミュレーション
・FPGAという部品を使った計算機の構築
etc...
なんだこれはというものばかりかも知れませんが、これらのテーマについては追々このサイトでも紹介していく予定です。五月祭で皆さんにお楽しみ頂けるよう、只今鋭意プログラミング中です。

五月祭のPhysicsLab. 2016に乞うご期待!
2016.02.08. Mon.
Category: 量子情報班
世界とは何か。あるいは、この世界はどのような機構のもとで動いているのか。理性的にせよ、感性的にせよ、もしくは、意識的にせよ、無意識的にせよ、この世界とは何なのか、考えたことのある人は少なくないのではないかと思います。そして、物理学とは、その問いに対して一つのしかたで答えようとする営みです。

世界について考えたとき、一つの問いかけの方向性としては、世界はどれほど広がっているだろうかということでしょう。たとえば、夜空を見上げたときに見られるあの星々、あれはどれだけ遠くにあるのだろうか、そこに近づくことはできるのだろうか、世界に果てはあるのか。そんな問いかけは、古くから数えきれないほどなされてきましたが、よく知られている通り、今では宇宙についていろいろなことがわかっています。

一方で、逆の方向性をもった問いかけも考えられます。すなわち、世界はどれくらい小さいのか、ということです。身の回りにあふれるいろいろなもの、それを切ると、半分に分かれます。さらに切ると、また半分に分かれます、さらに切ると……としたとき、いつまでも切ることは続けられるのでしょうか。言い換えると、世界は限りなく続いているのか、もしくは世界には最小単位はあるのか、ということです。

世界はどれくらい小さいのか、という問いは、ありふれています。だからこそ、古くから人間はそれを問い続けてきました。しかし、その問いに対して確固とした形で初めて答えを与えたのは、20 世紀はじめの物理学でした。答えは、世界には最小単位がある、ということでした。その最小単位は、たとえば電子、陽子、光子など、つぶつぶの(離散的な)ものとして現れ、それらはまとめて「量子」と呼ばれています。

そしてまた、もう一つ見出されたことは、その量子の世界をつかさどる法則は、人間の日常世界をつかさどる法則とは異なるということでした。この量子の世界をつかさどる理論体系が、「量子論」と呼ばれています。そこでは、いわゆる「不思議な現象」が見られます。

量子情報班では、ミクロなスケールをつかさどる「量子論」について考え、実験を行っています。具体的にどのような現象、どのような概念がそこで現れるのかは、また次回以降に。
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