正しい亥の子の打ち方
はじめに
こんにちは。Physics Lab. アドベントカレンダー9日目担当のAueslyです。突然ですが皆さん,亥の子を知っていますか?
亥の子というのは旧暦10月の亥の日に行うお祭りのことです。お祭りといっても大々的なものではありません。主役となるのは地域の子どもたちです。寒くなってくると私は亥の子のことを思い出すのですが、理物の友人でこれのことを知っている人は1人もいませんでした。そこで今回はこの場を借りて亥の子の正しい打ち方について解説していこうと思います。
亥の子自体は西日本に広く見られるらしいのですが、実施形態や歌の歌詞(後述)にはローカル色が色濃く出るようです。しかし、以下の記事で解説される内容は全てうちの地域のものです。そのため、この記事の読者には経験者の方がいらっしゃるかも知れませんが、ご自身の経験とは大きく異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
準備
参加者の募集
亥の子に参加できるのは地域に住んでいる子どもだけです。子供というのも曖昧な言い方ですが、概ね小学生のことです。未就学児や中学生が参加することはレアだったと思います。また、当日子どもたちが巡る家も決める必要があります。回覧板を回して、行ってもいいかどうかを確認しましょう。ただし、新築の家がある場合必ずそこへは行きましょう。
準備物
亥の子に必要なものは一つだけです。
それは「藁の棒」です。正式名称があるのかも知れませんが少なくとも私は知りません。「棒」とか「亥の子の棒」とか呼んでいました。で、その藁の棒なのですが、規格が決まっていて、藁で編んだ棒の部分に取っ手を取り付けたような形をしています。なんで取っ手がついているのかというとこれは 地面に叩きつけるためのものだからです。
これは当日に絶対に必要です。去年のやつが残っていればそれでいいのですが、壊れていた場合(これは結構壊れます)また新しく作らなければなりません。そういうわけで、8月くらいに公民館で亥の子の棒をつくる催しが開かれます。頑張って頑丈なやつを作りましょう。またもし、去年のやつが残っておらず、作成の催しにも参加できなかったとしても公民館に行けばストックがあるのでなんとかなります。
本番
Wikipediaによると旧暦10月の初めの亥の日に行うのが正しいらしいですが、うちの地域は適当だったと思います。とりあえず暑すぎも寒すぎもしない時期がベストです。行う時間帯は夜です。これも亥の刻(午後9時から11時)に行うのが正しいらしいのですが、うちの地域は午後7時くらいから始めていたように思います。子どもが夜ふかししないようにするための配慮でしょう。
さて、この行事ですが参加者全員でぞろぞろと連れ立って町内会の家々を回ることで進みます。目的の家に着くと、その家のインターホンを押します。そこの家の人が出たらすかさず「亥の子です!」と言いましょう。家の方が家から出てきたらいよいよ本番です。藁の棒を地面に叩きつけながら大きな声で以下の歌を歌いましょう。ここは1番の見せ場です。町内会中に響かせるつもりで歌いましょう。
亥の子 亥の子 お亥の子さんという人は
1で 俵をふんまいて
2で にっこり笑って
3で 酒を作って
4つ 世の中良いように
5つ いつもの如くなり
6つ 無病息災に
7つ 何事ないように
8つ 屋敷を建て広げ
9つ 小倉を立て並べ
10で とうとう治めた
この家繁盛せぇ!繁盛せぇ!
終わるとその家の方が500円か図書カードを渡してくれます。ありがたく頂戴して次の家へ行きましょう。全部回り終えると終了です。家に帰って寝ましょう。
で、結局これはなんなのか
歌の内容から推察するにその家の繁栄を願うための儀式なのでしょう。とはいえ子ども時代はそんなことには考えが至らず、なんとなく楽しいからやるだけなのですが。そう、やってみるとわかりますがこれはめちゃくちゃ楽しいです。何せ、いまだに覚えていますから。
そして成長して中学校に入学するともう亥の子には参加できなくなります。そして時期になると次の世代の子供たちの歌う歌を聴いて、懐かしい気持ちになるのです。東京に来て以来、当たり前ですが1度も聴いていません。再び聴きたいものです。
おわりに
お察しの通り私は地方の出身です。東大自体関東出身の方の方が多いと思いますが、理物においてもその傾向は顕著です。とはいえ同郷の人間がいないことに対して居心地の悪さを感じたことはありません。むしろ興味を持ってもらってありがたいと思っています。私自身も、学科民のの出身県のローカルネタを聞くのはかなり好きです。
みなさんの出身地には、どんな風習がありましたか?