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計算機班

物理学における計算機

計算機班では計算機、すなわちコンピュータを用いた物理現象のシミュレーションとそれによる成果の展示をしています。地震発生時の被害想定、天気予報、経済予測…など、ますます身近になりつつあるコンピュータシミュレーションですが、同様に物理学においても理論・実験に劣らぬ力を発揮しています。物理学は原子や分子などミクロな世界から地球や宇宙などマクロな世界まで幅広く扱う学問なので、理論を作って「さぁ、実験して検証しよう」と思っても現実的には不可能なことが沢山あります。そこで、現実には作り出せないエネルギーや時間スケールをコンピュータの中に作っての自分の「世界」で実験する、すなわち計算機シミュレーションでアプローチしていきます。自分で好きなように「世界」を作って実験できるので、同じコンピュータで素粒子から宇宙まで幅広い物理を扱え、自由度の高いツールです。

計算機と物理学者

それほど身近になっているコンピュータシミュレーションですが「ポン」とボタンひとつでできるものではなく、物理をコンピュータの中に持ち込むためには「モデル化」と「プログラミング」の2ステップを踏まなければなりません。現実にはありとあらゆる現象が複雑に絡み合っている我々の世界ですが、この中からまだ未知の現象に対しては予想される法則を、影響が十分に小さいものは無視を、というように興味のある現象にエッセンシャルな部分を抜き出してモデルにすることを「モデル化」と言います。またこのモデルをコンピュータが読めるように、そして計算が破綻しないように計算方法を指定して命令書にしてコンピュータに渡すことを「プログラミング」と言います。「モデル化」がうまくいかなければそのモデルは棄却され、適切な「プログラミング」をしないと物理法則を破る結果を吐き出されてしまいます。計算物理学において物理学者が研究しているのはこの2点にあります。

プログラムを書き終え実際にシミュレーションしてみてからも実はまだ先があるところが面白いところです。例えば何か不思議な物理現象をモデル化して、シミュレーションが行われた時、物理学者は何を考えるのでしょうか。観測事実と比較してみる、観測事実がなければ計算結果から新しい現象を予言する。前者の場合は観測事実をよく再現していれば、後者の場合は予言された現象を現実の世界で探し出せば、その理論の正しさを示すことになります。こういうわけで、コンピュータシミュレーションの結果を手掛かりに進むことで、新しい現象をなんの手掛かりもなしに探求するよりも非常に効率的な研究を行うことができます。計算機は物理学者に「みちしるべ」を与える力も持っているのです。

そこで計算機班では、班員それぞれが興味のある現象に対して計算機を用いた研究をしました。コンピュータの中に広がる様々な物理の「世界」を自分の目で確かめてみてください。