生物物理班Biophysics
"生物"というのは、"機械"と違ってずっと複雑で、意思を持っていて自由に動く。 そんな印象を受ける"生物"というものにも、よく観察すると様々なところに共通のつくりがあります。 それは、さながら"機械"のように物理的視点から考えることができるのではないでしょうか。 ここでは、物理的に生物を見て考える世界を皆さんにご紹介します。
物理学と生物物理学
物理学というのは、あらゆる現象の中に共通の法則を見出し、その現象を理解しようとするものです。例えばそれは、リンゴが地面に落ちるのも月が地球の周りを回るのも、ニュートンの万有引力の法則で説明できる、といったものです。 「生物に共通の法則を見出し、生物を理解する」。このように生物を考えるのが生物物理学と言えるでしょう。
細胞性粘菌を観察する
細胞性粘菌とは、ゾウリムシやアメーバのように1つの細胞からできた小さい単細胞生物です。 しかし、えさが不足すると、徐々に周囲の仲間が集まりかたまって、それらは大きい(と言っても1cmにも満たないのですが)ナメクジのような姿になって移動しはじめます。そして子実体と呼ばれるキノコやカビのような姿に変化し、胞子を作って動物などに離れた場所に移動してもらうのを待ちます。単細胞と多細胞の間に位置するような不思議で面白い生物です。↓プロモーション動画です。
細胞性粘菌の不思議
私たちが展示で注目するのは、その単細胞体の集まり方です。 例えば、人が集まる時というのは、リーダーが1人いて全体に集まれ!と指示をするでしょうか。 しかし、細胞性粘菌はそのようなことをせず、ある化学物質を使って隣へ隣へと合図を伝えていき、その合図の流れによって徐々に集まっていくのです。 そのとき、合図の流れは綺麗ならせん(渦巻き)模様や水紋模様を描きます。そしてこのような現象は実は細胞性粘菌だけでなく、様々なところで見られるものなのです。
私たちは細胞性粘菌の観察を通して、どのようにあらゆる現象に共通の性質を見出し、理解していくのかという、生物物理学の営みの一例をご紹介したいと思います。細胞性粘菌の実物の展示もありますので、ぜひお越しください!
澤井研究室、橋村博士には多大なるご協力をいただいたこと、深く感謝申し上げます。