Physics Lab. 2020

ゲージ理論班Gauge Theory

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ゲージ理論という言葉は聞いたことがないかもしれませんが、 「この世界には電磁気力、強い力、弱い力、重力という4つの力がある」ということは 知っている方も多いのではないでしょうか?この4つの力のうち、 電磁気力、強い力、弱い力の3つを記述する「標準模型」は、実はゲージ理論の一種なのです。 ゲージ理論の最大の特徴は「ゲージ対称性」であり、 その対称性の「破れ」が粒子に質量を与えます。

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ゲージ対称性

「左右対称」などで耳にしたことがある「対称性」という言葉、 物理学では「ある変換の下で系(考えている物理的対象)が不変である」 という性質を指します。また、「ゲージ(gauge)」とは「基準」や「尺度」を意味する言葉です。 つまり、ゲージ対称性とは、ものを見る基準を変えるという変換の下で対象が不変である、 という性質です。標準模型では、このゲージ対称性を仮定することで、 粒子間に働く力を媒介する粒子の存在が導かれます。

対称性の自発的破れ

上記のように対称性は現代物理学の有力な指導原理となっていますが、 ただ対称性があって美しいというだけでなく、 それが「破れている」というところにもう一つの魅力があります。 元々ある対称性が存在していたにも拘わらず、 実現された基底状態(エネルギーが最も低く安定な状態のこと。真空とも呼ばれる) にはその対称性がない場合、この対称性は自発的に破れていると言われます。 特に大域的対称性の場合、破れた対称性と同じ数だけ質量ゼロの粒子が現れることが知られており、 この粒子は「南部-Goldstone粒子」と呼ばれています。

なお、本学のOBでもある南部陽一郎先生は2008年に 「a mathematical theory for understanding spontaneous symmetry violations (対称性の自発的破れを理解するための数学的理論)」を定式化した業績でノーベル物理学賞を 受賞しています。 https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2008/nambu/facts/

Higgs機構

「ゲージ対称性」の欄では力を媒介する粒子(ゲージ場とも呼ばれる)を紹介しました。 対称性の自発的破れがゲージ場を含む系で起こる場合について考えてみましょう。 この場合も南部-Goldstone粒子の場合と同様に新たな粒子が現れますが、 この粒子はHiggs粒子と呼ばれます。力を媒介するゲージ場は元来質量を持ちませんが、 ゲージ対称性の自発的破れにより、質量を獲得します。 この質量生成に関する機構(メカニズム)をHiggs機構と言います。 この理論を提唱したPeter Higgs先生は2013年にノーベル物理学賞を受賞しています。

Physics Lab. 2020ではこれらの話題について、図を用いたより詳しい紹介をさせていただく予定です。是非ご来場ください!

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