PhysicsLab. 2016 BLOG
こんにちは。今回は透明マント班の2回目のブログになります。前回の投稿で、「何もない状態と同じように見えていれば、何もないと感じ取る訳です。」と書きました。今回は、それについて、実際に行った数値シミュレーションの結果を見ながら考えていきましょう。

そもそも、普段光がどのように進んでいるかを意識したことがある人はあまりいないのではないかと思います。そこで、まずは何もない場所で、光の波がどのように空気中を伝わっていくかのアニメーションを見てみましょう。
vacuume.gif
細かい物理的な説明は省いて、上のアニメーションで、赤と青の縞模様が光を表していると考えてください。上のように、何もない空間では、赤と青の縞模様はかき乱されることなく、まっすぐと左から右へと進んでいきます。

それでは、これと比較して、空気中にリングの形をしたガラスを置いてみましょう。
glass.gif
アニメーションを見てもわかるように、何もない時とでは大きく様子が異なっています。特にガラスリングの右側に注目してください。先ほどはかき乱されることなく真っ直ぐ進んでいた光が、ガラスの存在によってかき乱されているのです。これにより我々は何もない時とガラスがある時の違いに気付くことができ、「そこにガラスがある」と認識するわけです。それでは、ガラスの左側にいる人がガラスを認識できないかというと、そんなことはありません。もう一度アニメーションを注意深く見てみてください。ガラスの左側についても、赤と青の縞模様が波打っているのがわかるはずです。これは、いわゆる「反射」による効果を表しています。やはり、ガラスの存在を認識できるわけです。

最後に、私たち透明マント班が目指す「透明マント」を置いてみましょう。
metamate.gif
これを見ると、先ほどのガラスと同じ形状のものが置いてあるにもかかわらず、リングの右側および左側では、何事もなかったかのように、赤と青の縞模様は乱されることなく真っ直ぐ進んでいるのです。

なぜ、これが透明マントになるのでしょうか。それは、ガラスによって波が乱されているのと違って、リングの右側と左側で「何もない状態と同じ」なので、我々は、「何もないと感じる」からです。また、リングの中心に注目してみると、ガラスを置いた場合のアニメーションでは、光がリングの中心に侵入していますが、透明マントのアニメーションを見ると、リングの真ん中に光は侵入していないのです。このことから、リングの真ん中に何かを置いても、その物体に光が当たることなく、我々はそれを認識できないのです。

簡単な説明でしたが、透明マントの世界、楽しんでいただけたでしょうか。
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