PhysicsLab. 2016 BLOG
こんにちは!
PhysicsLab. 2016のブログ、真空ゆらぎ班2回目の記事です。
更新頻度が増えましたね。これから本番に向けてどんどん盛り上がっていきます。Stay tuned!
さて、前回の記事では真空ゆらぎ班が何を目指して活動しているかを紹介しました。今回はその活動内容についてご紹介しましょう!

前回のおさらいをしておくと、真空ゆらぎ班では「カシミール効果」を検出することが目的です。カシミール効果とは、身近な重力や磁力などと同じように物を引き合わせる力、つまり「引力」が生じる物理現象です。しかし、その強さはたいへん小さく、人間が直接感じることのできるようなものではありません。カシミール効果を検出するには、何らかの工夫が必要なのです。

そこで使われるのが「ねじればかり」と呼ばれる装置です。つくりは至って簡単。図のようにおもりのついた棒を振り子のようにして、ヒモやワイヤーでもってぶら下げてしまえば完成です。ねじればかりは吊るしただけですから、わずかな力に対してもねじればかりは敏感に反応するようになります。そのことを使って微小な力の検出を行う、というわけなのです。

ねじればかりを真横から見たときの模式図。ワイヤーやヒモは非常に細いものを利用している。ワイヤーの逆側は台などに取り付けられている。

私たちの実験では、ねじればかりに対して図のようにカシミール効果による引力が働くようにしてあります。すると、ねじればかりには、矢印の向きに回転するように運動することがわかります。さらに、引力が弱ければあんまり回転しませんし、強いとたくさん回転しようとします。ねじればかりの回転の様子を見ることで、引力の強さも調べることが出来るようになるのです。便利ですね!

ねじればかりを真上から見たときの模式図。ねじればかりのおもりと、それに近づけた板との間に、引力が生じることがある。引力の強さによって回転量が変化する仕組み。

しかしながら、弱い力に対しても敏感に揺れが生じる、ということが仇になってしまうこともあるのです。例えば、ねじればかりの近くでしゃべったりすると、声による振動がねじればかり伝わってしまいます。あるいは、ねじればかりの近くを歩くと、地面の振動がねじればかりに伝わってしまいます。ねじればかりは、こういった周囲の状況から生じた振動なども敏感に受け取ってしまい、検出したかったはずの「カシミール効果」による揺れが見えなくなってしまうのです。

そこで、カシミール効果によるねじればかりの揺れだけを観察するために、真空ゆらぎ班ではねじればかりに更なる工夫をしています。写真は、私たちが設計し制作した実験装置を映したものです。オレンジ色の、銅で出来た部分がねじればかりです。



今回は、私たちの実験について簡単な説明をいたしました。五月祭当日は、今回紹介した装置も展示予定です。お楽しみに!
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