PhysicsLab. 2016 BLOG
2016.02.08. Mon.
Category: 量子情報班
世界とは何か。あるいは、この世界はどのような機構のもとで動いているのか。理性的にせよ、感性的にせよ、もしくは、意識的にせよ、無意識的にせよ、この世界とは何なのか、考えたことのある人は少なくないのではないかと思います。そして、物理学とは、その問いに対して一つのしかたで答えようとする営みです。

世界について考えたとき、一つの問いかけの方向性としては、世界はどれほど広がっているだろうかということでしょう。たとえば、夜空を見上げたときに見られるあの星々、あれはどれだけ遠くにあるのだろうか、そこに近づくことはできるのだろうか、世界に果てはあるのか。そんな問いかけは、古くから数えきれないほどなされてきましたが、よく知られている通り、今では宇宙についていろいろなことがわかっています。

一方で、逆の方向性をもった問いかけも考えられます。すなわち、世界はどれくらい小さいのか、ということです。身の回りにあふれるいろいろなもの、それを切ると、半分に分かれます。さらに切ると、また半分に分かれます、さらに切ると……としたとき、いつまでも切ることは続けられるのでしょうか。言い換えると、世界は限りなく続いているのか、もしくは世界には最小単位はあるのか、ということです。

世界はどれくらい小さいのか、という問いは、ありふれています。だからこそ、古くから人間はそれを問い続けてきました。しかし、その問いに対して確固とした形で初めて答えを与えたのは、20 世紀はじめの物理学でした。答えは、世界には最小単位がある、ということでした。その最小単位は、たとえば電子、陽子、光子など、つぶつぶの(離散的な)ものとして現れ、それらはまとめて「量子」と呼ばれています。

そしてまた、もう一つ見出されたことは、その量子の世界をつかさどる法則は、人間の日常世界をつかさどる法則とは異なるということでした。この量子の世界をつかさどる理論体系が、「量子論」と呼ばれています。そこでは、いわゆる「不思議な現象」が見られます。

量子情報班では、ミクロなスケールをつかさどる「量子論」について考え、実験を行っています。具体的にどのような現象、どのような概念がそこで現れるのかは、また次回以降に。
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