PhysicsLab. 2016 BLOG
2016.02.22. Mon.
Category: 加速器班
はじめまして、加速器班の丸井と申します。

ここでは、加速器班についてお話をしたいと思います。加速器と一言で行っても様々なものがあります。有名なのは、Higgs粒子を発見したCERNや、新しい原子核を発見した理研、物性研究で使われるSpring-8などでしょうか。加速器というのは、荷電粒子を加速する装置の総称です。では、何を加速するのでしょうか、また、どうやって加速しているのでしょうか?

CERNでは、陽子をシンクロトロンを用いて、磁場を変化させ一定の半径で回しながら加速し、陽子と陽子の衝突実験を行っています。理研では、様々な原子核をサイクロトロンを用いて、一定の磁場中で回転運動させながら加速し、新しい原子核を作成しています。Spring-8では、電子をシンクロトロンを用いて加速し、発生する電磁波を使って試料の分析を行っています(レントゲンやMRIみたいな感じだと思ってください)。ここまで、挙げた例は全て回転運動をしています。

今回作成している加速器は、これらとは少し違い、電位差を使って加速する静電加速器と呼ばれるものです。例えば、乾電池の+と−の間には1.5Vの電位差があり、1Cの粒子を1.5J(ジュール)加速することができます。僕たちは、これを使って加速した電子の干渉の様子や磁場中での運動の軌道を調べたいと思っています。20世紀最大の発見の一つに相対論が挙げられます。相対論によれば、粒子の運動が光速に近い時、運動の軌跡がNewton力学とは異なるらしいです。ただ、飛行機などで光速に近い速度を出すのは難しいでしょう。たくさん燃料が必要でしょうし、隕石みたいに空気抵抗で燃えてしまうかもしれません。しかし、とっても小さくて軽い電子ならばどうでしょう? 速度を大きくしてもあまりエネルギーが大きくならず、真空容器の中で実験すれば空気抵抗なども関係ありません。これなら、もしかしたら出来るかもしれません。この班では、電子を大きく加速し光速に近づけると運動の軌跡がNewton力学ではなく相対論に一致することを確かめたいと思っています。
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