■概要
流体ブラックホール班は流体力学の方程式から予言される擬似的なブラックホール(sonic black hole)について研究をしています。このsonic black holeの研究について非常に興味深いのは、実際のブラックホールでは観測されていないホーキング放射などの未知過程(の類似現象)を実験室で確かめられる可能性があることであり、このことはひいては量子力学と一般相対論の統一へのヒントになるとも考えられます。具体的には特殊な形状をした管(ラバール管といわれるもの)に空気を流すことで、空気の超音速流を作り出し、そこを伝わる音波について実験する、といった上の状況そのものを再現する実験が考案されていますが、本班では液体ヘリウムを用いた実験を行います。
蛇口をひねると水が出ます。出てきた水は台所の流しにあたって流れます。日常でもよく目にしている現象です。さて、この水面には円形の表面波が形成されていますが、よく見ると内側から外側にかけて水の表面がいきなり高くなる(ジャンプしている)ような円が見られます。このような現象をhydraulic jumpといいます。そして、このjumpの内側と外側では水深が異なるため、水面を伝わる表面波の速度も異なってきます。この状況を”一般相対論的”に捉えてやると、実はホワイトホールの類似の構造を持っていることがわかるのです。本班は超流動ヘリウムを使って、hydraulic jumpの半径を測定することで研究を進め、実験室中で擬似的なホワイトホールに関する実験を行おうと思っています。
また、いまのところ詳細は未定ですが、当日の展示では音に関する簡単な実験、超流動の展示実験など、見て楽しめるものもやる予定ですのでぜひ五月祭ではPhysics. Labを見に来てください。