1つ目のコンセプトは「主体的な研究活動を行う」というものです。 学部生の我々は普段、授業を通して基礎的な知識をインプットし、実験や演習を通して学んだ知識のアウトプットを行っております。 しかし、これらは与えられたものをこなしているだけであり、自由なテーマを選択し活動するということが出来ません。 また、実験と言っても実験の基礎的な手法を体得することが目的に含まれていると思われるため、もちろんそこには教科書があり、また結果の分かっている実験が多いのが現実です。
しかし、Physics Lab.では夏休み前から学生自らの手によって研究テーマを絞っていき、教科書のない中、自分たちで研究テーマに準ずる論文などを探しゼミを行います。 そして、研究室からのアドバイスを受けつつ実験を組み立てていきます。 この一連の営みはすべて五月祭物理学科企画に有志として参加した学生で行われるもので、極めて主体的、かつ結果の分からないテーマを研究するという、実際の研究現場に近い状況での研究活動を体験できる貴重な場であることは言うまでもありません。 このような体験は、我々「物理学科の学生にとって」将来研究をしていく上で非常に有用なものであります。
2つ目のコンセプトとして、一般の方々の物理に対する「興味の芽」に刺激を与えるというものがあります。 ところで皆さんは「物理」と聞いてどのようなイメージを抱かれるでしょうか? これはあくまで推察でしかありませんが、「面白そうで憧れるけれども、数式がいっぱいですごく難しそう…」と思われる方は少なくないはずです。 物理はよく敷居の高い学問と言われますが、それを如実に表しているイメージだと思われます。 確かに、物理というゲームを十分に楽しみ、その本質を知るには日々の勉強が欠かせません。 必要となる知識は非常に多く、また物理を表す言葉である数学とも非常に仲良くしなければならない。 これは我々学部生も鍛錬の途中であります。 なぜこのような事をしているのか?それは先ほど物理をゲームと言いましたが、文字通りゲームのような「面白さ・興味深さ」がそこにあるからです。 この面白さ・興味深さを少しでも一般の来場者の方々に伝えられれば…そして、五月祭物理学科企画でしか味わえない非日常的かつアカデミックな刺激を存分に味わってもらえれば…そういう願いのもとPhysics Lab.は活動をしております。
当日の展示では、普段目にすることが出来ないであろう興味深い実験の数々を余すことなく皆さんにお見せしたいと考えております。 そして「どうして?」という疑問を抱いてもらえたらなと思います。 物理学科の学生がその「どうして?」という疑問にひとつひとつ答えていき、皆さんの物理に対する「興味の芽」が刺激され、育っていくことの一助となれば幸いです。
Physics Lab.2010正責任者 川西 裕基